先日、たまたまドイツ人と話す機会があったので「WECKって知ってる?」と聞いてみた。
「うんうん、おばあちゃん家のイメージだね。」
WECKといえば、イマドキのおしゃれなキッチンに並ぶジャムやパテ、コーヒー豆やグラノーラ…そんな光景をイメージしていた。ところが彼にとっては、おばあちゃんの家に並ぶいろんなビン詰めのイメージなのだそう。100年以上の歴史があるWECKは、ドイツ人にとってはイマドキと言うよりもむしろ昔からどこの家庭にもあるもの。もちろん彼の家にもいくつもあって、おばあちゃんの時代から彼らの生活にしっかりと溶け込んだ「あたりまえにいつもあるもの」だったのです。
さて、ここ日本でおばあちゃん家の台所と言えば、ホーローのボウルとか竹のざるとか金色のアルミ鍋とか漬物壺…。そう、キッチンではなくて「台所」という方がしっくりくる。だしや焼き魚のにおいがして、冷蔵庫にはいろんな漬物や佃煮が入っているおばあちゃん家の台所。あれ? 漬物とか佃煮だってWECKに入れてもいいんじゃない?
さっそくごはんの供をWECKに入れてみる。ガラス越しに見える梅干し、佃煮、ふりかけは色とりどりできれいだし、冷蔵庫に重ねて入れても中身がわかりやすいのでとても便利。お惣菜も一食分を小分けにしておけば、いちいちお皿に移し替える必要もなくそのまま食卓に並べられます。毎日のお弁当作りにも一役買ってくれます。
Mold 50mlには卵の黄身を落として醤油とみりんを少々。これを人数分用意して冷蔵庫で一晩漬けておけば、翌朝は黄身の醤油漬けで最高の卵かけご飯が楽しめます。50mlならスタッキングもできるのでぴったり。我が家は黄身一つに醤油小さじ2弱、みりん少々ですが調味料の分量はお好みで。
そして和食には欠かせない出汁。きちんと出汁をとるのは理想的だけどなかなか難しいもの。でも、水に昆布と干ししいたけを入れておくだけの簡単なものなら常備するのも苦にならない。StraightやJuice Jarで作れば冷蔵庫のドアポケットに収まり、必要な時にさっと取り出せて便利です。これもいろんな型があるWECKならでは。目安としてStraight 1000mlで約900mlの出汁がとれます。
不思議なことに、こんな風に使っていると日本に昔からある台所道具にだんだん見えてくる。シンプルな道具ほど、使う人の国や世代に関わらず使い勝手が顕著にあらわれ、そしてそういう道具はだいたい同じように便利なことが多い。イチゴのマークだから、ドイツ製だから、そんなイメージからの先入観は捨てて、自分に合った使い方をすればいいんだな。WECKに限らず、フィルタを通さずにものを見る力を養っていきたいものです。いつの日かドイツのおばあちゃんのお宅訪問なんてしてみたいなあ。そこでは反対に日本の道具が溶け込むかもしれない…。そんなことを考えていたらご飯が炊けるいい匂い。さて、炊き立てご飯にお供のWECKでいただきます!